雪代巴の白梅香

るろうに剣心追憶編の重要キーワードである白梅香。本編で抜刀斎は香水と言っているけど、鬼平犯科帳のエピソード「暗剣白梅香」に白梅香という髪油(鬢付油)が登場するし、時代的にも髪油だろうと連載当時から思っていました。

鬼平の作中で池の端・仲町*1の浪花やで売っていると書いてあったけど、池波正太郎は江戸の古地図を資料としていたので、「浪花や」も「白梅香」もひょっとしたら実在していたかも期待しましたが、仲町に実在したのは御伽羅之油を扱う「萬屋*2で「浪花や」はフィクションでした。

一方、尚順(1873-1945年、最後の琉球国王の四男で男爵)が記した泡盛のバイブル「古酒の話」*3で古酒の香りに触れており、

第一は白梅香かざで古くから鹿児島より這い入って来た小さい鬢付油の匂いだ

と、白梅香という名の鬢付油の匂いに近いものが古酒として最高の匂いであると例えています。少なくとも戦前まで白梅香という髪油が実在していたようです。沖縄で書かれたものなので、白梅香は鹿児島を経由して沖縄に入ったのはわかるとしても、実際の出所は何処なんでしょうね……

*1:現在の台東区上野2丁目

*2:http://homepage1.nifty.com/shimizumon/1th_6/1th_6_12.html

*3:「鷺泉随筆」の一編